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ホ.乗り心地の良い最適船型
図3.1.2)-29〜図3.1.2)-31に線形計算におけるシリーズ計算結果をまとめて示す。
図3・1・2)-29にはL/Bシリーズを、図3.1.2)-30にはlcbシリーズを、図3.1.2)-31には船底傾斜角シリーズを示している。
これらの図より、上下加速度の応答が最小となる船型は原型船型(CASE1)あるいは原型船型からlcbを前方に移動したCASE5であることが削る。また、原型船型とCASE5を比較すると、図3.1.2)-30に示すように、横揺れに関してCASE5の方が原型船型よりも応答が大きくなることから、今回のシリーズ船型の内、船体動揺が最も小さくなる船型は原型船型であると考えられる。

 

ヘ.まとめ
今回のシリーズ計算を通じて結果的に原型船型が最も動揺の小さい船型と判断された。原型船型は他のシリーズ船型と異なり実際に就航中の高速艇である。高速艇の船型も通常の船舶と同様、新船型が開発されるまでには水槽試験結果など模型船レベルのデータの蓄積と海上試験時の実船データの見直しがある。今回は動揺の少ない高速艇船型を数値計算を用いて調査したが、今回のシリーズ計算結果が高速艇船型を考える上で何かの参考になれば幸いである。
[参考文献]
[1]木原、高橋:「単胴型高速艇」高速船型の耐航性能推定法シンポジウム日本造船学会(平2.12)
[2]藤野:「高速艇の波浪中性能」高速艇と性能シンポジウム日本造船学会(平1.6)
[3]船舶・海洋とアルミニウム:社団法人軽金属溶接構造協会(平2.11)
[4]「公団共有船写真・技術集63年版」海交新杜(昭63.9)
[5]「公団共有船写真・技術集平成4年版」海交新杜(平4.9)
[6]「公団共有船写真・技術集平成5年版」海交新杜(平5.11)
[7]Tadeusz Jastrzebski:「Further consideration of a High-Speed Craft definition」 Fast Ferry Internationa1(1994.9)

 

 

 

 

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